浄土宗 槃舟山易往院願生寺

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檀家信徒

【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第5回

2020.03.07

今年は2月が1日多いとはいっても早いもので、また1月が経ちました。

先月はそこまで大事とは思っておりませんでしたが、新型肺炎の流行がここまでの事態になるとは、というのが正直なところです。

長女の幼稚園も公立なので休園となってしまい、なんとも歯切れの悪い年少の締めくくりとなった上、ひな祭りのパーティーも取りやめとなり、仕方ないながらもそこはかとなく寂しそうな感じです。

今回はお彼岸に際してより理解をしていただくための内容を考えてはおりましたが、無理をおしてのお参りを推奨するものではありません。

別枠のお知らせにも書かせていただきましたが、くれぐれもご無理はなさらないようお願い申し上げます。

仮に一度お参りを飛ばしてしまっても、このような状況下で怒るご先祖様もいないと思います。

御塔婆の申し込みも複数届いております、順次確認を兼ねてお礼状を書かせていただきますので、今しばらくお待ちください。

と、いうわけで予告通りお彼岸についての話になります。

そもそも彼岸とは何かという話ですが、大雑把にいうと「悟りの境地および、それに至った先祖のいる極楽浄土」のことです。

一方で、我々が現在生きている世界のことを「此岸(しがん)」といいます。諸々の煩悩などがあり、悟りには至ることが極めて難しい世界です。

その極楽浄土ですが、遙か西方にあるとされました。

そのため、真西に太陽が沈む春分・秋分には、その方向にある極楽浄土へ思いをはせて先祖の供養を行うとともに、自らも往生を願い修行を行う期間とされます。

浄土宗では、自らの往生を願ってお念仏を唱えることも修行です。ぜひお参りの際はご先祖様への供養と併せて修していただければと思います。

また、彼岸の期間は春分・秋分の日を中日とした前後3日ずつなので、年によって変動があります。今年は3月17日から23日です。

この前後3日ずつということにも実は意味があります。

仏教には「六波羅蜜」という悟りの境地に至るための修行があり、中日には先祖供養を行うとして、前後3日ずつの計6日は、この六波羅蜜になぞらえたものとされます。

6つの具体的内容とは

①布施(ふせ)-見返りを求めずに善行を施すこと
②持戒(じかい)-規律を守り他人に迷惑をかけないこと
③忍辱(にんにく)-怒りを捨てて耐えしのぶこと
④精進(しょうじん)-努力を続けること
⑤禅定(ぜんじょう)-心を落ち着かせること
⑥智慧(ちえ)-怒りなど負の感情にとらわれないこと

以前に触れた「無財の七施」と重複するものもありますが、普段から心がけるべき内容ともいえるでしょう。

特に今年は何かとピリピリした状況にありますが、お参りできなくとも、上記の6つを心がけて過ごすだけでも「彼岸の修行」については遂行できます、ぜひ御心にとめていただきたく思います。

ここまでが概要ですが、この先は私見も含めた話です。

上記にある通り修行を行う期間でもありますが、それに伴い、自らを省みる期間とも思っております。

現代では地球はほぼ球体ということで、ずっと西へ思いをはせていくとやがて自分の背中にたどり着きます。

その自分の背中、物理的に見ることは不可能ですが、これまでの歩みや自らを立ち止まって振り返るのも重要なことではないでしょうか。

皆様各家のご先祖様を供養されますが、そうした方々の努力や愛情があり、自分というものは存在しています。そのことへの感謝というものは普段はなかなか意識できないものです。

私が大学生の頃、ある競技の一流選手の方に話を聞く機会があり、その内容はまだはっきりと覚えているのですが

「辛いときあきらめるのは三流、負けないぞと歯を食いしばってがんばるのは二流、ありがとうと感謝するのが一流」

試合などの場に立つには親などの助け、部内の仲間のサポートや応援、他にも様々な方の力が必要不可欠なもので、そうした場に送り出してくれた人が存在するのを認識し、感謝できる選手こそ一流だという言葉、頭によく残っています。

当山のお檀家様のご子息らには、スポーツで驚異的な成績を残している優れた能力の持ち主もいます。

それだけでもすごいことですが、何より素晴らしいと思うのは、そんな厳しい練習の合間に、ご両親とともにお参りに来てくれることです。

インターハイに出場するような厳しい練習の中で彼岸参りをすることは、私個人としては寺院生まれでなかったら出来ないと思います。これが大成しなかった一因とも思いますが。

おそらく、こうした心がけを持っている一流選手は、両親・祖父母等々がいたから今の自分があるということを言われなくてもわかっているのだと思います。

そして、そのことに感謝し、自分を見つめ直すことができるからこそ、卓越した力を発揮できるのだと思います。

今回はお参りの可否は別としまして、ぜひ、ご自身の背中を見つめ直していただければとも思います。

以下はいつもの法事の予定表です。別のページにも記載したとおり、延期については気兼ねなくお知らせ下さい。

●3月
7日  11時
14日 11時
15日 11時
26日 11時
29日 11時

●4月
4日  11時 13時
5日  11時

●5月
31日 11時

●6月
7日  11時
20日 11時
21日 11時

●10月
4日  11時

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