お知らせ
【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第36回
2022.10.01
彼岸も終わり、すっかり秋の様相となって参りました。
今回の彼岸も春彼岸同様、ここ2年よりお参りが戻ってきた印象です。
中には2019年以来という方もおられ、元気なお顔を拝見できました。
完全に戻ったとは言い難い状況ではありますが、段々と平常に戻りつつあるところでしょうか。
とはいえ、高齢化も進み、自力でのお参りが難しいという方も多くなっているようです。
なるべく墓所や境内の整備を進めていますが、やはり一気に諸々解消するのは難しいところです。
また、自分ではどうしても気づけない部分もあります。
気になったのは玄関前の墓所方面へ向かう敷石、ここは玄関から右へターンするわけですが、車いすだとかなりスペースが足りないようです。
早急に直したいところではありますが、当山は正面が車の駐車スペースを兼ねているためなかなか難しい問題ということです。
石を敷きなおしても車が通ると重みで沈んでしまうということで、単純にはいきません、墓所の整備とは違って難しくなっています。
全面アスファルトやコンクリートにしてしまうという手法もありますが、少々味気なくなってしまうのに加え、コスト的にもなかなか厳しいところです。
本堂改修とともにそのあたりを済ませておいて欲しかったところではありますが、すぐに対処できることではないので、しばらくはご注意の上お参りいただければと思います。
トイレの改修なども思案中ではありますが、こちらも利便性や数の問題もありなかなか頭を悩ませます。
数年はこれまで見過ごしてきたメンテナンスなどに力を入れる方針ではありますので、お気づきの点などございましたらお気軽にお知らせください。
ここからは今月の法話です。
毎年7月のお盆をお勤めした後に思うことは「来年こそ新盆になる方がいなければいいな」に尽きます。
当然ですが、節ごとに檀信徒の方の元気な様子を拝見して色々お話させていただくのがもっとも大事と思っており、それが続くのが理想です。
しかし、新盆明けの8月は暑さが厳しくなることもあり、そのような考えは毎度ひと月ほどで打ち砕かれます。
今年は3月以来葬儀もなく、更にそこを乗り切り、ちょうど良いくらいに涼しくなってきたことから、次は年明けを切り抜ければと思っておりましたが、そうもいきませんでした。
訃報というのは毎年、それこそ毎日あるわけですが、思えばここ数日は少し目立っておりました。
当山で少ないというのもたまたまで、同業の友人などに聞くと忙しくしている者も決して少なくありませんでしたが、それでも期待はしてしまうというものです。
私が正式に浄土宗教師となった当初は個人的には祖父・祖母にあたるような方の葬儀がメインでした。
そういった方は私の幼少期に、往生することになったら葬儀をやって欲しいなどと冗談半分でおっしゃっていましたが、それを果たすことができたことで少しは恩返しができたかなというところはありました。
かれこれそこから20年ほどが経過してくると、どちらかというと父母にあたるような方の葬儀が多くなってい参りました。
当然、お付き合いの密度も濃かったり感覚が近かったりする分、今まで以上に考えること、思うところがどうしても多くなります。
そこからさらにいくと、私と20歳も差がない兄・姉や先輩といった方のケースも出てきてしまいます、尚更、辛いところはあります。
経験を積んでそういったところを埋めていければいいのですが、私は凡人ですのでなかなか難しいところです。
とはいえ、私が迷っていては話にならないので、気持ちを割り切りしっかりとお勤めできるよう準備しておかなければなりません。
しかし、葬家の方となると葬儀準備は大変なものですし、その後の手続きなども考えると極度の緊張や心身両面での疲弊が続くこととなります。
そんな状態の中、お別れのために心を落ち着けることはなかなかに難しいことかもしれません。
そのような中であるからこそ、葬儀ではしっかりと故人様と向き合えるように手助けするのが重要です。
お経にもテンプレートはありますが、アレンジもしますし、読み方もより心を落ち着けられるよう研究し練習しています。
通夜では故人様と最後に過ごす夜らしく、葬儀は本当に最後のお別れらしく、さらには伝えることはしっかり伝えられるようお勤めしなくてはなりません。
近年は葬儀スタイルの変化だったり、コロナによりやりたくても通夜を断られてしまったりということもあるようですが。
戒名を書く時も故人様との会話などを思い浮かべながら準備します、なので参列される方も思い出を一つ二つ持って、心を落ち着かせてお座りいただきたく思います。
これは回忌法要でも同様です。
日々お忙しい中ですし、葬儀のような非常事態は殊更ではありますが、少しでいいので一時停止してともにお勤めいただきたく思う次第です。
これは日常のことも同様です、いくつも用件を抱えて慌ただしくしていると見落としてしまうことや不十分になってしまうことは多々あります。
何においても事に臨む際にはわずかでもいいので一度気を静めてみてください。
それには自分のために「南無阿弥陀仏」のお念仏を唱えて心を落ち着けるのも有効です、ぜひお試しください。