浄土宗 槃舟山易往院願生寺

お知らせ

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施餓鬼供養 演奏会奏者紹介

2020.05.07

敦子通信特別版

コンサート会場でお会いしましょう

《本物の「音」¨演奏家にとつて音とは何か?》

楽器を習う子供たちは幼い頃から「音を外さないように」「綺麗な音を出すように」と言われながら努力し、毎日の訓練 はまさにこの「音」と取り組んでいると一言っ ても良いかもしれません。ところがこの音の世界がとても深くて、これを見つめていくと何処までも限りない世界が広がっているように感じます。例えば音をそれが作られた時代や場所で見つめてみるとどうでしょうか? モーツアルトの 時代にこの音はどんなふうに出されて、当時の人々にはどのよう に聴こえていたのだろうと考えると実に 面白いです。私は東京の京橋エドグランでラ・フオル・ジュルネという世界的な音楽の祭典に出演することになっております。毎年ユニークなコンセプトで展開されるこの 祭典にはその年によつてテーマが決まっており、例えば2019年は「Carnetes de voyageoボヤージュ 旅から生まれた音楽(ものがたり)」でした。出演者がどのようにその年のテーマに取り組まれるかが見どころです。

《音は環境の産物》

私たちが奏でる音は小さな頃からの環境の産物とも言えます。生まれ育つた土地の影響もそうですが、お父さん、お母さん、兄弟、友達、先生など周りの人から受ける文化的な影響も音と密接に関係します。そういった観点から春に渋谷で開催される代官山ジュニア音楽コンクールについてお話ししたいと思います。このコンクールは私も審査員として関わらせていただいておりましたが、非常にユニークで、注目を浴びているコンクールです。スタンスが『子供たちの焼めく音を聴かせてください。』というもので、子供たちの奏でる音の中には実にたくさんの埋めきが詰まっていて審査員は真摯に彼らの音に真っ正面から向き合わないといけないのです。彼らの音の中にはこれまで彼らを慈しみ育ててきたご家族の愛や希望が沢山つまっています。彼らの音を大切にするということは彼らそのものを大切にし、そのアイデンテイテイを大切にする(聴く、感じる、見る)ということかと思います。原始から人類と共に在り続けた音をみれば私達人類がどのように時代を超えて存在してきたかが見えてくるような気がします。この代官山ジュニア音楽コンクールは東京の中でも外国人が多く、多様性の街渋谷ならではのコンクールです。外国国籍の子どもたちも含めて日本中から、4歳から18歳の子供たちが集まってきますが、コンクールが終わってからも、様々な機会に子供たちの演奏チャンスが設けられ、例えば、大使館などでの文化交流の演奏など良質な環境の中で素敵な成功体験を積ませてあげて、子供たちを伸ばしていく取り組みがされています。

《グローバルエデュケーション》

今、大使館の話がでましたが、東京は大使館がとても多く毎日の生活の中でも多国籍の方と一緒に生活しています。私の東京の教室に通ってきている小さな子供たちも外国語を学校で習っていてバイオリンのレツスンでもしやべっていることがあります。これからの教育にとって大切なことは、世界には多様な考えや価値観、宗教観を持ち、外見も違う人々が住んでいることを理解し、そのうえで自分のアイデンテイテイを伸びやかに発現させることであると私は考えます。たとえ正反対な意見を持っている人とでも、互いの軸を理解し、互いがかけているメガネの色を認識したうえで共存、共生を図れる力が大切です。相反する価値との共存を自由に取りながら、自ら望む思考や行動を進めることができる人、そういった国際人を育てる教育のことをグローバルエデュケーションと呼ぶのだと私は理解しております。音楽はもともと人の心と身体の中に内在するものであり、共通するものです。もっと言えば、人間だけではなく生きとし生けるものが音( ヴアイブレーション)を奏でていると考えれば、この万物の共通点をつうじて私たちは未来を美しく共同制作していけるのではないかと思うのです。音の本質とは何か?立日は私たちそのものであり、だからこそ音を大切にしていきたいと願います。

高雄敦子

京都市生まれ。2005年京都市立音楽高等学校(現:京都市立京都堀川音楽高等学校)を卒業。同年、英国王立音楽院に音楽院奨学金を得て留学。2010年6月英国王立音楽院を首席で卒業。在籍中、音楽院からの全額奨学金で渡仏。フランス ヴィラクローズの弦楽カルテットマスタークラスにてアルバンベルグカルテット、イザイカルテットのメンバーにレッスンを受ける。サー・ジョン・バルビローリ賞、ウォルフ・ウォルフィンソングス賞を受賞。第24回京都芸術祭参加、京都市長賞受賞。2011年夏、日本全国13会場でコンサートを行う。同年英国王立音楽院修士課程入学、LRAM(英国におけるヴァイオリン教授法の資格)取得。2012年3月11日、テレビ番組「情熱大陸」にて英国王立音楽院のメンバーと共に葉加瀬太郎氏と共演。英国王立音楽院学内ホールのコンサートにて内田光子氏と共演。同年、英国王立音楽院修士課程卒業、京都青山音楽記念館にて帰国リサイタルを行うと共に、日本での本格的な演奏活動を開始する。

2014年にストラディヴァリウス「スギチェリ/T&T」を貸与される。
2015年には京都の大原「宝泉院」「勝林院」、嵐山「法輪寺」、東山「東福寺」「高台寺」などで撮影、演奏を行う。2015年DVD&CD「京都から贈る癒しの調べ」を発売。2016年DVD&CD「ストラディヴァリウスと古都京都の夢の響演」を発売。
同年8月、世阿弥ゆかりの佐渡・金井能楽堂で「世阿弥追善コンサート」を行う。
東京国立博物館法隆寺宝物館、京都国立博物館平成知新館、京都・音羽山「清水寺」、奈良・「法隆寺」、国連大学、民間ユネスコ運動70周年記念式典などでも演奏を行い“日本の文化、精神を海外へ発信する活動を行う演奏家”さらに“宇宙との一体感を意識した癒しの音楽を奏でる演奏家”として注目されている。

文化庁による「文化芸術による子供の育成事業」の認定ヴァイオリニスト。
www.atsuko-heart-concert.com

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