お知らせ
掲示板の言葉 vol.6 「徒に先の易を見て、未だ当今の難を観ず」
2023.06.26
少し間が空きましたが、諸々行事谷間の更新です。
少々、文章が硬くなりましたが、出典は中国、『三国志』からの言葉です。
ちょうど仏教が中国に入ったのは後漢末頃といわれるので、そこからと思いきや仏典由来ではありません。
当時から民衆に広まったということはなかったようですが、一部は熱心に帰依した人もいるようです。
笮融(さくゆう)という武将などがそうなのですが、行動は仏教的といい難いものでした。
それはさておき、言葉自体は曹操のものです。
意味は「都合のいい先例ばかり見て現状の困難を見極めていない」といったところです。
ポジティブな経験や体験というのは印象に残りやすいもの、当然、その喜びや楽しみというのは長く残ります。
私たちの人生に於いても同様です。
失敗を糧に頑張るというような臥薪嘗胆的な決意を持つ方も多いですが、良い思い出や経験があることは非常に人生にとってプラスにはなるはずです。
しかし、一方で仏教ではこの世を穢土とし、煩悩に満たされ迷いから抜けられない世界ともしています。
生老病死はじめ、様々な苦しみがあるのは事実です。
ところが、普通に生きていればそのようなことを意識する場面はあまりありません。
そうはいっても、苦があるのは誰しも当然に知る事実、まさに「当今の難を観ず」といえます。
親しい間柄の方の死などでその見ないようにしていた事実を突きつけられると、わかっていることといっても強いショックを受けます。
では、そんなネガティブなことを常に考えながら生きるのかというと、それも気が滅入る話です。
やはり重要なのはバランス、このような苦しみがあるからこそ、生かされていることのありがたみや楽しみもわかる局面もあるはずです。
毎日、悩み生きるのも辛い話、お盆も近いのでご先祖様のご供養を勤めつつ、今ある身について考えることも大事なことです。
そして、いつも皆様とお唱えさせていただいている十遍のお念仏、これはあらゆる人を苦しみから救う阿弥陀様の慈悲でもあります。
ご先祖様への感謝の念とともにお供えいただければと思う次第です。