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【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第33回
2022.07.01
観測史上もっとも早い梅雨明けとともに、猛暑日が続いておりますが、皆様お変わりございませんか。
節電についても少しは協力しなければならないので、可能な範囲で窓を開けて自然の風をとりこんでいます。
こういう点に関しては和風建築の良さはあると感じるところです。
それと、花壇を作ったはいいものの、ケアが必要なのでホースで水を境内全般に撒いています、ちょっとした打ち水ですね。
とはいえ、植物の水やりはあまり日中に適さないということなので、しっかりと効果が出るほどはしにくいところです。
休日は娘の水浴びも兼ねておりますが、雨量を考えるとあまり水も使いすぎるのは考え物ではあります。
結局のところ、水分補給を兼ねて冷たい水を飲むのがベストなのかもしれません、熱中症対策にもなりますし。
お盆の前倒しのお参りも増えておりますが、なるべく軽装にする、飲み物を持参するといった対策はお願いいたします。
良いことではあるのですが、隣の建物の構造変化で墓所の日当たりが向上しております。
お参りのあと、玄関で少し休んでいただいて構いませんので、ご無理ないようお願いいたします。
また、これは前々から申しているのですが、高輪ゲートウェイからのルートは遮光物がほぼないため、日差しがかなり厳しくなっています。
数年すれば改善するのでしょうが、今年は近隣の建物を崩し終わったところなので、昨年以上かもしれません。
泉岳寺駅からも距離はありますので、帽子などを着用して歩いてください。
不安な場合は乗り換えが面倒でも、隣駅で地下鉄に乗り換えることを推奨します。
お盆の暑さはこれ以上ということもあり得ますので、ご注意ください。
そんなわけで、お盆前の法話です。
お盆の由来に関してはFAQにも記しておりますし、別サイトで私が書いた記事もあります。
法要でも何度かお話しているので、忘れてしまった方はそちらをご確認ください。
目連(目犍連)尊者とその母親に関連する話ではありますが、少々厳しすぎるのではないかと思う方もいるでしょう。
一方、『蜘蛛の糸』などを見てみると、悪人であっても救いの道であったり、チャンスが示されています。
以前、友人に「仏教の判定は雑すぎないか」といわれたことがあります。
確かに、目連尊者の母親は少し息子をひいきしただけで、優しく良い人であったでしょう。
しかし、ちょっとしたことで餓鬼道へ堕ちるというのは厳しすぎる話です。
一方、悪事に染まり切ったカンダタが一度気まぐれで蜘蛛を助けただけで浄土への道が開ける、これは実現しませんでしたが、確かに雑といいたい気持ちもわかります。
これには私も自説があり、聖道門での往生の難しさを説いているためと解釈しています。
浄土宗では「易行門」と「聖道門」という考え方があり、前者はお念仏で極楽往生することで、後者のほうはそれ以外のルートです。
浄土宗では別に念仏以外の行を否定していません、ただ、現実的に厳しく誰でもできるものではないと考えています。
そのため、誰でも出来る易行、つまり念仏を一番と考えているのです。
また、これまでに過ちを犯したことがあったとしても、心から反省して一心にお念仏すれば往生が得られるとしています。
戒律を守る、しっかりと修行する、これはそれこそ尊者の母のような人でもちょっとしたことでアウトになってしまう難しいことです。
施餓鬼の由来でも話しましたが、阿難尊者も決して悪人ではないでしょうが、3日後に餓鬼道に生まれ変わるなどといわれてしまっています。
そのような立派な人でも道を外れてしまうと考えると、やはり易行による往生が一般の人間にとっては実現可能な道といえるでしょう。
そんな我々への救いの道であるお念仏、お盆のお参りの際には、ぜひご先祖様のため、自分のため両方で修めていただければと思う次第です。