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【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第71回
2025.10.05
今年は久々に「暑さ寒さも彼岸まで」といえたのではないでしょうか。
10月も30度超えなどという話も出ていたので不安を感じておりましたが、秋の様相を感じています。
とはいえ、28・9度で涼しいなどといえるのもまた環境が変わってしまっているためでしょう。
これを書いているのは10月5日、法要が午後にあったのでその後、つい「涼しくなりましたね」などといってしまいますが、昔でいうとまだ夏です。
順応性というのも凄いものだと感じますが、高齢の方にとってはそうもいかないようです。
9月に入って葬儀が急増しておりまだ流れが止まっていません。
檀家の方のみならず、日ごろお世話になっている寺院でも先代住職が危ない、のような話も流れてきています。
今年の異様な暑さやそこからの気温変動も身体には堪えるようです。
高齢の方でなくとも健康状態については過信せずご自愛ください。
そのようなわけで、この恒例の記事も遅れておりますし、私の開業後の営業活動も9月はほぼ行えませんでした。
10月には愛玩動物供養、11月には十夜放生会もあるので、そちらの準備にも徐々にかかっていくので、しばらくはまだ寺院比重が高くなりそうです。
そんな秋の入口の法話です。
先月の社労士事務所開業に際し、多くの御祝いを頂戴しました、改めて御礼申し上げます。
一部は暑さゆえ枯れてしまいましたが、観葉植物や胡蝶蘭は残っており、玄関がこれまでにない豪華さになっています。
お寺にも花はつきものなので相性もいいですね。
では、花と仏教の関わりというのはどうなのでしょうか。
これには色々な話があります。
まず、よく話すのが「五種供養」、つまり仏様や故人様が喜ぶお供えのひとつに「華鬘」として挙げられています。
他にも、美しいもののやがて枯れてしまうことから無常を示す、極楽浄土の美しさを表現しているなどともいわれます。
また、お釈迦様にまつわるエピソードとしても出てきます。
お釈迦様の前世、雲童子という青年であった頃、その国の王は仏様に花を供えると莫大な徳が得られるとして国中の花を集めていました。
一方、雲童子も仏様に花を供えたかったのですが、どこを探しても花がありません。
困っていると国王へ7本の花を献上しにいく、賢者という花売りの女性に出会いました。
雲童子は全財産を投げうって懇願し、花を譲ってくれるよう頼みます。
その理由としては自分のためだけではなく、こうした徳を積むことで仏道を成就して多くの人々を救いたいというものでした。
その志に心を打たれた賢者は5本の花を雲童子に譲り、2本は自らも仏様を供養するために供えます。
国王が集めた花はそのあとすぐに枯れてしまいましたが、ふたりが供えた花はいつまでも輝いていたといいます。
そして、これが縁となって雲童子と賢者は結婚します。
さらにはその宿縁は続き、シッタールダ王子として生まれた際に結婚したヤショダラ姫も賢者の生まれ変わりといいます。
この故事に基づいて仏式の結婚式では入堂の際、新郎は新婦から5本の花を受け取り仏前に供え、2本は新婦がそのまま供えます。
意味合いは様々ですが、贈り物として定番といわれるのもわかる気がします。
先月の彼岸では多くの方にお参りいただき、墓所も花でいっぱいでした。
想いは様々ですが、どこか心に留めてお供えいただければより良い御供養になるのではないでしょうか。