浄土宗 槃舟山易往院願生寺

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【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第66回

2025.05.01

早いもので今年も連休に入りました。

私はあまり休日祝日が関係ない人間ではあるのですが、行事やらイベントやらとなると、そこに目を向けざるを得ない世の常です。

本来はのんびりしたいところですが、様々な面でそうもいきません。

部活三昧だった学生時代や適度に仕事しつつ息抜きしていた時期とは一味違う状況ですが、特殊な一週間ということで、悪くないのかもしれません。

現状、寺務に携われるのが2名しかいないため、何分ご不便をおかけする可能性も高い時期ですがご容赦ください。

ふと昔を思い返すに、連休は学校が休みなのも嬉しかったものですが、4・5日に白金方面の覚林寺で清正公のお祭りが楽しみでした。

友人と少々買い食いしてそのあと少し遊び歩く程度とはいいつつも、連休も相まって特別なイベント感があり、その雰囲気が楽しさを上乗せしていたように感じます。

娘も何だかんだと12月の義士祭と並んで楽しみにしているようです、このあたりは変わらないものですね。

そうはいっても、出店の感じも変わりました。

流行などで新たなメニューが増えたりする一方で、明らかにインチキ臭のするモノは激減しました。

金魚すくいはいまだにありますが、カラーひよこなどは今の若い子(どころか私より少し下の世代でも)は見たことないでしょう。

良いか悪いかは別として、そうした何ともカオスな感じも含めてお祭りだったような印象を持つオッサンとしては少し寂しいような気もします。

さて、5月といえばお施餓鬼シーズンです。

多くのお寺でもっとも大きい行事としていますが、当山も同様です。

特徴を考えると十夜放生会のほうをメインにしたいところではありますが、二枚看板といったところでしょうか。

本年の施餓鬼に於いては「令和七年改葬・合祀諸精霊」の志主を募ることとしました。

その背景につきましては同封の手紙の通りで、より詳細なお話は法要前の挨拶でさせていただく予定なので動画をご覧ください。

少し重複するのですが、施餓鬼という法要の特性からもこのタイミングが好ましいと考えました。

法要の際、正面本尊前には「三界萬霊」という位牌を供えています。

「三界」とは「欲界(よくかい)」、「色界(しきかい)」、「無色界(むしきかい)」という3つの世界のことです。

「欲界」は我々の今生きている世界で、地獄から天道までの六道のことで、欲のある世界という3つの中で一番下とされるものです。

「色界」はその欲から離れた清らかな世界、「無色界」はそれより更に上の、肉体など物質から離脱した境地のことです。

ちなみに、その無色界の中でももっとも上を「有頂天」といいます。

つまり、「三界」とはあらゆる世界ということです。

そして、「萬霊」とはその世界のあらゆる生物です。

なので、「あらゆる世界のあらゆる生命」を供養するという法要でもあります。

施餓鬼に関してはたびたびお話しておりますが、餓鬼の世界を丸々救うという法要なのでその徳は莫大で、檀信徒皆様のご先祖様に加えあらゆる諸霊を供養できるほどなのです。

ご先祖様方は御供養を毎年受けられますが、そうでない生命もいます、それを供養するのも施餓鬼の重要な役割でもあります。

本年1月から長年の課題であった無縁墓所の大規模整備を行いました。

もちろん、丁重にご供養した上での改葬・合祀ではありましたが、それまで長年に渡り、中には150年以上も放置されていた墓所もありました。

そういった方も改めてご供養できるのがまさに施餓鬼です。

袖すり合うも他生の縁などといいますが、同じ区画に墓所を設け同じ信仰を持ったり、中には遠縁の方だったりもするわけです。

そうした方のご供養もお勤めして善行としていただくため、今回の施餓鬼に合わせた形とさせていただきました。

お寺によっては毎年「三界萬霊」の塔婆供養を勤める方もいるそうですが、今回単発で目に見える形にしたといったところでしょうか。

4月いっぱいの時点で想定より多くのお申し出をいただきました、ありがとうございます。

また、いつもお盆に御塔婆を立てる方がそちらでお勤めしたいとの相談もありましたが、もちろんそうした形でも構いません。

十夜放生会の際にも申しておりますが、あらゆるものにより生かされている私たちの身。

ぜひ法要に際して一歩立ち止まり、「三界萬霊」への供養の気持ちで周りを見渡していただければ幸いです。

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