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【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第55回
2024.05.01
連休シーズンに入りましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
かれこれ施餓鬼が5月に移動して10年近くでしょうか。
7月3日にお勤めしていた頃は暑さに参りながら準備を進めておりましたが、春先だとかなり楽です。
準備のほうも諸々の備品を出しやすくしたり、本堂の襖を取り払っているのを常態にしたりと何かとスムーズに進められるようにしております。
そのような背景もあり、かつては1月がかりで準備していたものも、大幅に簡略化できました。
その分、直前に法要を入れられたり、通常に戻すのも手早くなったりと、イベント感は少々薄れたような気もしますが、利便性も大事なところ。
手抜きでない範囲で良い形を保っていければと思います。
法要のほうも法衣は夏暑く冬寒いので、この時期ですと集中してお勤めしやすい次第です。
ご出席の方も夏場の暑い盛りではないので、比較的良い季節だという声も聞こえます。
とはいえ、17日は梅雨入りというわけではないのですが、例年、風が強いなど多少天気が荒れているイメージがあります。
前日も部内の寺院で法要があるのですが、そちらは特に雨が多い印象です。
特異日というわけでもないので、個人的な印象かもしれませんが。
今年はどのようなものかと月間天気を見てみたところ、今のところ晴れで気温も適度ということでした。
昨年はコロナ騒動終わりたてということでまだ様子見的なところもありましたが、今年はかなり安定してきていると思われます。
ぜひ、多くの方と共にお勤めできればと思います。
また、17日というと11月の十夜放生会も定例化しておりますので、「半年ごとの17日」で覚えておいてください。
さて、5月というとかつては五月病などという言葉もよく聞きました。
次女が小学校に上がり、今のところは特に何かが嫌だというようなこともなく、楽しんで通っています。
長女は慣れたもので、1・2年とガラッと変わったメンツの中でも普通のようです。
次女のほう保育園と様子がかなり変わるということで心配ではありましたが、とりあえず一月は、といったところでしょうか。
先の五月病というと、連休明けあたりにどうにも気が乗らなくなるという話で、今でいう適応障害の一種ということです。
私も高校の頃はちょうどそのあたりで違和感を感じたものですが、これは男子校ならではのむさ苦しさに嫌気がさしたといった程度のものでした。
中には中退・離職にまで至る方もいたことでしょう。
近年はあまり聞かないななどと思っていましたが、これは4月の時点で駄目だと思ったらもう我慢しないなどというケースも多いというのも理由かもしれません。
4月は朝のテレビ番組で退職代行の利用が増加しているといった報道も見られました。
時代も変わったなと思う一方で、そこまでしないと離職ができないブラック企業なども増加しているという問題もあるようですね。
私やそれ以上の世代ではそれくらい自分で何とかしろという方もいるでしょうし、その考えにも首肯くことはできます。
しかし、先のような問題があったり、どうしてもパーソナリティ的に難しかったのなら、心身にダメージを受けてまで我慢しなければならないというのは受け入れがたい話です。
仏教には「四苦八苦」の言葉があり、そのうちのひとつに「怨憎会苦(嫌な相手と出会ってしまう)」というものがあります。
逃れられない苦しみが存在する一方、お釈迦様は『スッタニパータ』というお経の中では「嫌な相手とは距離を置け」ということも説いています。
同じく『ウダーナヴァルガ』の中では「人とつきあえばやがてその人のようになる」とあり、これを解釈すれば嫌な相手とつきあうのは悪影響を及ぼすといえるでしょう。
何かの力を使ってでも、どうしても耐えきれないことから逃げることも、あまり否定しなくてもいいことかもしれません。
五月に限らず、抑うつ的な状態にならないのが最良ではありますが、過剰な無理をせず、時には嫌なことから距離を置いてしまうのも大事なことでしょう。