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【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第43回
2023.05.01
4月は暑い日と寒い日が隔週でやってくるような、体への負担が大きい月でした。
本格的に暑くなる前に施餓鬼の準備や墓所の気になる箇所の手入れなどを少し進めましたが、なかなかいい汗がかけました。
本堂も一部整理を行い、以前の散らかった感じをまた少し解消することができました。
その中で少し驚いたのが裏手にあった掛軸。
文殊菩薩を描いたもので、せっかくだから入って右手すぐに移動しようと思ったところ、触れただけでボロボロと崩れてきてしまいました。
お世辞にもケアが行き届いている風には見えなかったのでこれを機に少しチェックをなどと悠長なことをいっていられない状態だったようです。
即座に修繕へ出しましたが、思わぬ作業が追加となりました。
なお、裏手には烏枢沙摩明王と馬頭観音をお祀りすることとしております。
烏枢沙摩明王は11月の放生会などの際に正面へ出しますが、他の際にもお参りいただけます。
かつては男児誕生の御利益があるとして、武家が後継者を願って祀ったりもしたそうです。
馬頭観音は現代では交通安全に御利益があるといわれています。
かつてのウマは今でいえば自動車、そんなこともあり、ウマに関することから交通安全につながったそうです。
当山での牛供養は飲食店の方の御要望が多いですが、本筋は荷運びにウシです。
運送業・旅客業に従事される檀家の方が多いのもその御縁かとも思うところ、そうした方々の安全もお祈りしたいと思う次第です。
5月は施餓鬼で普段本堂に上がらない方も、ぜひ本堂各所をご覧いただければ幸いです。
そんな施餓鬼直前の法話です。
昨年はかなり葬儀が少なく安心していたのですが、年を明けてから相当なペースでご連絡がきています。
そして、施餓鬼では例年通り前年5月18日から本年5月16日までにお浄土へ引っ越しされた方の新盆供養を行います、ある種年度区切りのようなタイミングです。
お盆はお盆で7月か8月に行います、こちらでも御供養するので、計2回の新盆供養となります。
6月から7月上旬にかけての場合は翌年が新盆となります、少々わかりにくいのですが、同様の寺院はそれなりにあるようです。
理由としては、施餓鬼・お盆の大きな施しの功徳を積んでいただきたいということです。
そんな中、私の叔母も3月に亡くなりまして、葬儀を勤めさせていただきました。
独り身だったので倒れてからは私が諸々の手続き等を行っていたのですが、途中、緊急連絡先がこちらになっていた都合、親しい方々から心配して連絡がきておりました。
当然、私よりかなりの先輩方だったのですが、何でも協力するから遠慮なくいってほしいというような言葉をいただき、何度か助力をしていただく局面もありました。
残念ながら亡くなった際、明確に関係と連絡先がわかる方には報告を入れましたが、皆様、ぜひ参列させてほしいと遠いところからも駆けつけてくれました。
その後も人づてに連絡が回ったようで、四十九日までに色々動きがあり、叔母の交友関係と人望を改めて確認することとなりました。
そこで涙ながらにお参りくださる方を見て、葬儀の重要性を少し考えました。
現在の家族葬主流の風潮を批判するわけではありません、当然、考え方として間違いとは思いませんし、喪主の負担などを考えれば以前のような大規模な葬儀は時代にそぐわないところがあるとは思います。
しかし、逆の立場で考えたら、ごくごく親しい友人に万一のことがあれば何でも協力してあげたいとは思いますし、葬儀には出席したいところです。
叔母の友人の「何でもするから、どこへでも行くから」という言葉を真に受けて無理をさせるわけにはいきませんが、一部の方にでも声を掛けられたのは良かったのではないかと思っております。
高齢化が進む中、遠くまで人を呼び出すのにはなかなか勇気がいります、部内葬儀の帰りに倒れた老僧があったという話も聞きますし、万一の時に責任はとれないという恐れは確かにあります。
しかし、葬儀も節目として可能な限りで声をかけてお別れさせてあげることは大きな意味があると感じます。
後悔しないというより「させない」のほうも重要なことです、私も父母の関係を少し洗っておかねばならないと思う次第です。