お知らせ
【連載】檀家信徒の皆様へ近況報告と法話 第24回
2021.10.07
先月の秋彼岸は、コロナの新規感染者数も減ったことから少しご無沙汰の方ともお会いできて、沈静化の兆しを感じたところです。
逆にご都合合わなかったかたもいらっしゃるようで、春よりやや多いかなといった人出でした。
10月に入り緊急事態宣言も解除されたので、どうにかこのまま良い状況に進んでもらいたいところです。
法要など、様子見・延期のお話も複数うかがっておりますが、こちらも変わらずご無理のないようお願い申し上げます。
少し話が逸れますが、彼岸・年末年始・施餓鬼・新盆と地蔵堂横の手水場で花手水を実施しております。
これまでは水鉢がただあるだけで、蚊の対策でたまに人力で水を抜くだけだったのですが、穴あけ加工と水道を通し龍の口を設置しました。
これだけで見栄えと実用性は向上したのですが、せっかくなので流行りに乗ってみようと、お参りの多い時期のみ花を入れることとしました。
これがなかなか好評のようで、外部からの見学も増えてきています。
特に今回の秋彼岸はレインボーローズ、その名の通り七色のバラなのですが、これが本当に美しく、かなり多くの人が撮影に来てくれたようです。
このようなお参りの際の楽しさもどんどん出していければと思っております。
他にも境内がやや殺風景なので、空いているスペースに季節の花を植えていこうとも考えています。
ハスの鉢を導入したのもその一環ではありますが、他にもハランやリュウノヒゲなど、雑草除けの草を変えていく方針です。
お詣りいただいた際には足元も注意深くご覧いただければと思います、現在はシュウメイギクが咲いています。
そんなわけで今月の法話です。
これまで奇数年の秋彼岸としていた愛玩動物法要が10月へ移動となり毎年開催としました。
本来ならご意見伺っての上というのが筋かもしれませんが、彼岸参りの分散であったり、あまり設定日時が良くないということを考えた上での決断です。
これまで通り隔年がいいという方は、セルフで調整していただいてもいいと思っておりますので、ご無理なく参加いただければと思います。
世間では菩提寺にペット墓所があるのを嫌がる方もいるそうです、先祖代々の墓所が動物と同じは嫌だということらしいです。
とはいえ、当山は古くから牛供養塔もあるので、そこまで問題視する方もいなさそうですが、先の意見も完全に捨てることはできません。
なので、当山ではペットと一緒に入れるお墓というのはありません、しかし、同じ境内の端にあるということで、動物大好き派の方はそこで妥協していただければと思う次第です。
これは過去のペット法要でもお話したのですが、浄土宗はあまり教義内容で議論は起こらないのですが、動物が極楽浄土に往生できるかについては少し見解が分かれています。
ネット検索するとYahoo!ニュースなどがひっかかるのですが、大雑把にいうと東西でやや相違があります、これは他の法式などでも違いがあったりするのですが。
我々が十遍のお念仏を唱えること、これはいってみれば極楽浄土へ往生するための超簡単な修行のひとつなのです。
動物はそれができないので、往生できないのではないかというのが主に西のほうの見解です。
一方、我々が行った善いこと、先のお念仏を唱えることなどですが、これを亡くなった方に回し向けて往生を願うことを回向といいます、法事などはこれにあたります。
なので、動物の回向を行うことで往生ができる、これは主に東の考えです。
これがなかなかまとまらず、公開討論まで行われたので私も聞きに行ったのですが、議論としては東の方の論説のほうが圧倒的に優勢でした。
西の方の主張もわかりますし、確かに最低限くらい頑張るというのは大事なこととわかるのですが、東のほうを否定する論拠はやや弱かった印象です。
とはいえ、西の主張でも「何か別の人などに生まれ変わり、そこで仏教に出会い最終的に往生する」ということなので、結局のところはワンクッションがあるかどうかという差になります。
しかし、そのワンクッションは死を含みます、そのような苦しみが挟まるのはどうなのか、そんなことを考えると個人的には東の意見でまとまって欲しいものです。
このような回向、もちろん大事なことでもあります。
しかし、「自分が往生するためにお念仏する」ということは、お話しすると意外そうなリアクションを受けることも多いです。
浄土宗では先述した通り、お念仏は修行の一環であったり、何をするにも心に持ちともに生活するものでもあります。
何かの試験前など、お念仏で心を落ち着かせるなどということもしばしば耳にしますし、効果的なものであるようです。
どうぞ皆様も、法要などでは故人様に向けたもので結構ですが、ぜひ自分のためのお念仏も唱えてみてください。